10月26日に文部科学省が発表した調査結果によると、いじめの把握件数が前年度から約10万件増えて過去最多になったそうです。どうして増えたのでしょうか?
また、いじめに対してどう対処したらよいのでしょうか?鍵となるのは、専門家に相談することのようです。今日はいじめについて書かせて頂こうと思います。
特に小学校で増えているいじめ把握件数
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なぜこれだけ小学校で増えたのでしょうか?
文部科学省は当初学校目標を「いじめゼロ」と掲げていました。これが学校の評価の対象になっていたんですね。その結果、いじめをゼロとして報告することがプラスになってしまっていたようです。
そこで、文部科学省はこれまでの姿勢を見直し、「解決済み」の件数や「いじめか判断がつかないような問題」も報告することを求めたのです。そのため、大幅に把握件数が増えたということですね。
一対一のトラブル
では、どのように対処したらよいのでしょうか?一対一のトラブルの場合、子供の話をよく聞いてあげることで解消されることがあります。まずは「それは嫌だったね。」などと共感してあげてください。
それだけでも、気持ちが落ち着き、翌日元気に学校に行けるようになることもあります。学校に行ってみたら、いつもと変わらなかったということも子供なのであることですね。
それでも解消できない場合は?
担任の先生に相談して下さい。一対一のトラブルの場合、事情を説明すると状況に応じて対応してくれる先生の方が多いと思います。対処法としては、相手生徒にも事情を聞き、相手生徒に謝らせる。更に相手生徒の親御さんにも指導したことを伝える。そのような対処をしてくれる先生が多いかと思います。
小学生の中学年くらいまではこのような対処法で解決することが多いですね。
他にも相手に知られたくない場合は先生に相手には知らせないでほしいとお願いした上で、席替えの際席を離してもらう、来年度はクラスを別にしてもらうなどの対処法で問題が解消されるケースもあります。
しかし、学年が上がるにつれて、子供は親にいじめを受けていることを隠そうとする傾向にあります。なぜでしょうか?
親に心配をかけたくない
親に話すと学校に相談される➜いじめてる人を注意する➜さらにいじめが酷くなると考えるから
保護者用いじめのサイン発見シート
こちらをチェックすることで、もしかして子供がいじめに遭っているかもしれないと気付くことができるかもしれません。
いじめの早期発見チェックポイント(政府広報/文部科学省)
朝(登校前)
□ 朝起きてこない。布団からなかなか出てこない。
□ 朝になると体の具合が悪いと言い、学校を休みたがる。
□ 遅刻や早退がふえた。
□ 食欲がなくなったり、だまって食べるようになる。
夕(下校時)
□ ケータイ電話やメールの着信音におびえる。
□ 勉強しなくなる。集中力がない。
□ 家からお金を持ち出したり、必要以上のお金をほしがる。
□ 遊びの中で、笑われたり、からかわれたり、命令されている。
□ 親しい友達が遊びに来ない、遊びに行かない。
夜(就寝前)
□ 表情が暗く、家族との会話も少なくなった。
□ ささいなことでイライラしたり、物にあたったりする。
□ 学校や友達の話題がへった。
□ 自分の部屋に閉じこもる時間がふえた。
□ パソコンやスマホをいつも気にしている。
□ 理由をはっきり言わないアザやキズアトがある。
夜間(就寝後)
□ 寝つきが悪かったり、夜眠れなかったりする日が続く。
□ 学校で使う物や持ち物がなくなったり、こわれている。
□ 教科書やノートにいやがらせのラクガキをされたり、やぶられたりして寝いる。
□ 服がよごれていたり、やぶれていたりする。
*全てをチェックすれば必ずいじめを発見できるというわけではありません。各ケースによって違いがありますので、シートを参照に検討してください。
自分の子供がいじめられていると親が知った時にはいじめを受けてから時間が経ってるケースが多いようです。できれば早急に事態を把握したいですね。
もし、我が子がいじめられていると気づいたら、どうしたら良いでしょうか?
あれ?もしかしてと思ったら・・・(政府広報/文部科学省)
○様子がおかしくても、問いつめたり、結論を急いだりしないようにしましょう。
○何があっても「守り抜く」「必ず助ける」ことを真剣に伝えましょう。
○いじめている人が悪く、いじめられている人は悪くないと伝えましょう。
○子どもに次のようなことは言わないようにしましょう。
「無視しなさい」「大したことではない」「あなたにも悪いところがある」
「いじめられるほうが悪い」「弱いからいじめられる」
親御さんの言葉でお子さんの気持ちは天国にも地獄にもなるでしょう。このような際の声掛けには細心の注意が必要です。また、様子を見ようと思っているうちに取り返しのつかないことになってしまう場合もあります。
いじめの芽が小さいうちに対処しておくことが重要です。
ネット上のいじめ
最近のいじめはネット上で誹謗・中傷が絶え間なく続き、個人情報や画像が流出するなど深刻な事態をまねく恐れがあります。迅速に書きこみを削除することが重要です。
その際は法務局の人権擁護委員に相談してください。
法務局では人権侵害情報の書きこみなどについて削除の助言など相談に乗ってくれます。
また、削除申請してもプロバイダ等の管理者が応じない場合は法務局がプロバイダへの削除の要請を行ってくれる場合もあります。
学校側がいじめについて訴えても取り合ってくれない場合の対処法
法務局はネット上の人権侵害だけでなく、学校のいじめに対しても相談に乗ってくれます。大人だけでなく、子供も相談に乗ってもらえます。
更に、担任や校長にいじめを訴えても対処してくれない場合、法務局が調査の上、学校側にいじめの具体的対策を講じるよう働きかけをしてくれます。その結果、いじめが解消されたケースもあるようです。
『完全いじめ撃退マニュアル』の著者平塚俊樹氏も学校に相談するより法務局の人権擁護委員に相談することを勧めています。
更に平塚氏は状況に応じて刑事告訴をし、警察に動いてもらうことについても触れています。
警察は証拠がなければ立件できないので、ボイスレコーダーを使用し、いじめの証拠となるものを録音、その音声を文字に起こしたものを証拠として残しておくと良いようです。(念のため録音した音声も残しておくと良いですね。)
ボイスレコーダーなんて探偵の世界の話のような気がしますが、最近は交通事故対策としてドライブレコーダーを取り付ける方が増えているようです。常に身を守る方法を考えておかなければいけない世の中なのが残念です。
最近はペン型のボイスレコーダーもあり、違和感なく録音することができるようです。
また、怪我をした場合は写真やビデオに撮っておく。病院にかかるほどの怪我をした場合は医師から診断書をもらっておいた方がいいようです。だんだん物々しくなってきました。
しかし、学校はこういった手続きを一気にすることで、形勢が逆転し有利になるケースがあると平塚氏はおっしゃっています。
ただ、このような対処をする前に、法務局に相談してしてくださいね。そして何より大切なことは我が子の身の安全を確保することです!
いじめる子の親
いじめられていることを学校に相談した途端にいじめてる子の親がいじめられてる子の親を陥れようとしてきたり、よりいじめの軍団を大きくした親もいます。意地悪な子供の親は意地悪なことが多いのかもしれません。こちらでは意地悪な子供の親について書かせて頂いています。
出席停止制度
何か問題を起こしても公立小学校・中学校では生徒を退学処分にすることはできません。その代り「出席停止」という制度が設けられています。
出席停止は、学校教育法35条で定められた制度で、学校の秩序を維持し、ほかの児童・生徒の教育を受ける権利を守ることを理由に、問題のある児童・生徒の出席を制限することができます。
出席停止の要件
「ほかの児童の教育の妨げになること」と「性行不良であること」の2つ。
性行不良とは
「他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える」
「職員に傷害又は心身の苦痛を与える」
「施設又は設備を損壊する」
「授業その他の教育活動の実施を妨げる」などの行為である。
平塚氏によるとこちらの手続きの手伝いも法務局でしてくれるようです。また、いじめにより不登校になった際、内申書に傷がつくか心配な場合も法務局に相談してみてください。
転校
学校教育法では「一定の手続を経て、関係市町村教育委員会間の協議が整えば、他の市町村等の学校にも就学することができる」と「区域外就学」を認めているので、転校をすることができます。
友達と関係が悪化してしまった学校に居るより、また不登校になるより転校してしまった方がいいと考える親御さんも多いようです。
いじめが子供に与える精神的ダメージ
いじめによる精神的ダメージは睡眠障害、鬱病、不登校などをもたらし、大人になってもパニック障害や対人恐怖症などに苦しみ、日常生活にも支障が出てしまうくらい辛い思いをする方も多いようです。そうならない為にも常に子供の言動や行動に気をつけていたいですね。
実際にあった集団いじめ解消法
そんな中、こんな記事を見つけました。現役の先生がいじめを解決、その方法とは?
組織的な「いじめ軍団」があることを感じとっていた先生はいじめられている生徒と保護者から「いじめられている事実」を告げられ、プロジェクトチームを作ります。そして、チームで対策を練って実行に移します。
①聞き込み調査と学年アンケート
②情報集め
③加害者への面談
特にこの面談が素晴らしく、口裏を合わせさせないように加害者全員同じ時間に先生と一対一で面談をします。いじめ軍団は8~10名、先生が結集したプロジェクトチームは10名ほどだったようです。
それで、一度に一対一の面談ができたのです。これで加害者全員がいじめを認めたそうです。
その後はいじめられた子にすぐには謝らせず、短い作文を書かせた上で加害者の親を呼び、学年主任、担任、加害者の親、加害者生徒で面談をしたそうです。
このケースではリーダー格の生徒の父親が筋の通った方だったようで、家族でしっかり話し合い被害者生徒にしっかりと謝罪したようです。
詳しくはこちらをご覧ください。
集団で個人を攻撃するようないじめに発展してしまうと事態は深刻になってきます。いじめはグループ化、軍団化されていることが多いです。いくら大人といえども、いくら教師といえども1人で解決するのは難しいのだと思います。
まとめ
いかがでしたか?今回は重い内容の記事になりました。しかし、知っておくことは大切なことだと思います。
・いじめ把握件数の増加について
・一対一のトラブル
・保護者用いじめのサイン発見シート
・ネット上のいじめ解決法
・学校側がいじめについて訴えても取り合ってくれない場合の対処法。
・出席停止制度
・転校
・いじめが子供に与える精神的ダメージ
・実際にあったいじめの解決法
いじめはケースによって様々なので、解消法も個人によって違います。そのため、専門の方に相談することが重要です。ぜひ1人で抱え込まずに法務局に相談してみてください。そして、「学校側に味方」になってもらえるようお願いしてみてください。
我が子を救えるのは親であるあなたしかいません!
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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